第44回世界遺産委員会 〜中南米新規登録〜

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2021年 第44回世界遺産委員会

2021年7月16日~7月30日の日程に、第44回世界遺産委員会がオンラインにて開催されました。1977年から毎年開催されていた世界遺産委員会。本来は2020年に中国の福建省で開催される予定でしたが、新型コロナウィルスの影響により2021年に延期され、しかもオンライン開催という異例の展開になりました。日本からも今回は、文化遺産1件と自然遺産1件の合計2件が登録となりました。今回は中南米の新規登録遺産を確認していきます。

トラスカラの聖母被昇天大聖堂とフランシスコ会修道院の建造物群 〜ポポカテペトル山腹の16世紀初頭の修道院群の拡大〜

メキシコ中央高原にある文化遺産です。1994年に登録された『ポポカテペトル山麓の16世紀初期の修道院群』の範囲が拡大された、ということのようですね。こちらはアステカ帝国を征服したスペイン人が建設した修道院群が現存しており、複数の修道院が世界遺産として登録されています。ポポカテペトル山は「メキシコ富士」と呼ばれるほどきれいな円錐形の山です。ポポカテペトルという名前がいかにも中南米な感じがしますよね。

ロバート・ブール・マルクス記念遺産

ブラジルの文化遺産です。ドイツ系ブラジル人で、造園家であり環境デザイナーのロバート・ブール・マルクスの自宅や庭などが新たに世界遺産の仲間入りを果たしました。建築家などの個人名がつく世界遺産も複数ありますよね。2016年登録の『ル・コルビュジエの建築作品(日本ほか)』や、2019年登録の『フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群』などがそれにあたるでしょうか。ロバート・ブール・マルクスは2016年登録の『パンプーリャの近代建築群』でもオスカー・ニーマイヤーと共同設計をしているそうです。

チャンキーヨの太陽観測と儀式の中心地

ペルーにある文化遺産です。300メートルにわたって並んでいる13の塔があり、その正体は太陽観察をするものだったとのこと。太陽観測の塔の他には住居跡と広場などがあり、まだまだ謎が多いそうで、今後も研究が進められるのではないでしょうか。今後出てくる新しい発見が楽しみです。

アリカ・イ・パリナコータ州のチンチョーロ文化の集落と人工ミイラ製法

チリにある文化遺産です。その場所は限りなくペルーやボリビアとの国境付近に位置しています。チンチョーロ人は、紀元前5,000年頃からミイラ作りを開始したといわれているそうです。ミイラで有名なエジプトよりもはるか昔からミイラが存在していたことになります。チリ北部のアタカマ砂漠からは多数のミイラが出土しているとのこと。死者のからだから肉や臓器を取り除いて、そこに粘土を詰めてミイラを作っていたようです。

技師エラディオ・ディエステの作品: アトランティダの聖堂

ウルグアイの文化遺産です。先ほど記載したロバート・ブール・マルクスに続き、またまた個人名が遺産名に含まれています。エラディオ・ディエステは、技師として産業建築物を中心に倉庫、工場、貯水塔などの建築を手がけた方です。レンガ造りのこの近代建築は、ぜひ実物をみてみたいと思わせてくれます。

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